最も大きな違いは、白金の髪色と蒼い眼だ。

その優しげな空色の瞳は、憂いを含んだ陸の緋色の瞳とは随分と印象が違う。

――彼は一体、何者なのだろう。

「あ…の、貴方は……?」

「ああ、失礼。僕は京(きょう)。通りすがりに君の悲鳴が聞こえたから、様子を見に来たんだ」

無事で良かった、と京はまた穏やかに微笑んだ。

「助けて頂いて…本当に有難うございました。私、晴海といいます」

後先考えずに挑発をしてしまった自分も悪いとはいえ、今日の秦には何をされていたか判らない。

もし京が来てくれなかったら、と思うとぞっとした。

「晴海ちゃん、か。君みたいな綺麗な眼をした美人さんに良く似合う、素敵な名前だね」

「どっ…どうも」

言い回しこそ違えど、こういうことを臆面もなく言うところも似ている気がする。

「あ。晴海ちゃん、その腕」

「えっ」

「…痕が残ってる」

京に言われて手首を見てみると、秦に掴まれていた部分が赤く痣になっていた。

然程痛みは感じないが、秦への嫌悪感に胸がざわつく。

「見せてごらん」