『――はるちゃん』

…わたしのこと、よんでるの、だれ?

『はるちゃんのことは、おれがかならずまもるからな』

だれ?あなた……

『おれがぜったいにそばにいるから、だから…』





「………夢…?」

身を起こすと、其処は見慣れた自分の部屋で、他には誰の姿も見えなかった。

「晴」

扉を叩く音が響いたかと思うと、その直後に其処から仄が顔を覗かせる。

「かあさん?」

「今日って先生のところから陸が帰ってくる日でしょ?あたしは仕事に行ってくるけど…大丈夫?」

「え……あ、うそ、もうそんな時間?!ごめん寝過ごしてっ」

慌てて飛び起きて身支度を始め出すと、つい先程まで見ていた夢の内容はもう良く思い出せなくなっていた。

「晴にしては珍しく遅かったね。昼は外で済ませるから慌てなくていいよ。陸の出迎え、よろしくね」

「うん…お弁当作れなくてごめんね、母さん」

「ま、たまにはそんな日もあるでしょ」