天地の輝く両手に両頬を触れられた瞬間、確かに全身が熱い、と感じた。

「っ…ぁ…」

次いで、倦怠感に包まれていた身体に力が湧いてくるような感じがする。

「暁、そろそろ…」

「うん…でも、もう少しだけ――」

其処で、天地の顔色が次第に青ざめてきていることに気が付いた。

天地が何をしてくれているかは解らないが、自分のために彼が消耗しているのは明白だった。

「先生っ、わたし、もう大丈夫ですっ…!!」

「そうかい…?まあ、顔付きも口調もはっきりしてきたね。じゃあもう大丈夫かな」

天地が両手を下ろすと、同時に目映い光も消え失せた。

「っはぁ…久々に使ったから、堪えたよ」

「もうそんなに若くないんだから気を付けろよ。もうじき三十だろ」

「失礼だな賢、僕はまだ二十八だよ」

賢夜に向かってわざと不機嫌そうに膨れて見せる天地に、恐る恐る声を掛ける。

「あ、あの…先生…?いまのは…」

「ああ。僕の力を君に送ったんだ。あんまり扱い慣れてないから必要以上に疲れちゃってね、少し休めば治るから心配いらないよ」

「天地先生、の……?」

「晴海、知らなかったのか?暁は光の能力者で、今使ったのは治癒魔法だよ」