「陸は、人形でも貴女のものでもない…!陸が何の意思も持てないようにさせてたのは貴女の信じる月虹の人たちだ!!」

「な…っ!」

一緒に暮らし始めた当初は確かに言葉数も表情も、感情の抑揚も少なくて戸惑いを覚えた。

けれど今は、怖いと思う気持ちや嬉しいと思う感情を話してくれるし、良く笑うようになってくれたんだ。

もし月虹に連れ戻されてしまったら、きっと陸はまた笑わなくなってしまう。

「陸を物みたいに扱う場所に帰すくらいだったら、何をされたって絶対陸の居場所は教えない…!!」

晴海は首を掴む少女の腕を両手で掴み返すと、その威圧的な眼差しを跳ね返すように彼女を見返した。

「ふぅん…少し痛い目見なきゃ解らないんだぁ」

すると不機嫌そうに眼を細めた少女の掌を伝って、強烈な電流が全身に駆け巡った。

「――っ!!」

あまりの衝撃に、声を上げることすら出来なかった。

「悲鳴くらい上げたらどお?つまんなぁい…でもこれで陸の居場所は言う気になったぁ?」

勝ち誇った笑顔で見つめられ、晴海は怯んだ両手に必死で力を込めて少女を見据える。

「っ…絶対、言わない…っ!!気が付いて、本当は貴女だってこんなこと…っ本心から月虹に従いたい訳じゃない筈でしょ…?!月虹の言い成りにさせられてるのは、貴女のほうだよ…!」

すると少女は困惑したように目を泳がせると、突然逆上したように叫び声を上げた。

「煩いっ…!黙れ、黙れ黙れ黙れぇっ!!」

再び少女が、先程よりも威力の強い電流を放った。

「きゃああああっ!!」