相手ピッチャーは同じ小学校に通っていた光希だった。一緒に野球をやっていたなかでもある。光希の得意な球はストレート。だけど、二番目に多く投げる球はカーブだ。小学校の頃は、投げ方とかで何を投げるか分かったんだけど、今はあの頃みたいに投げ方の癖とかないから、予想外の球が飛んでくることもある。だから、ストライクゾーンに入っているかを見極めて、あとは振るしかない。光希は、六年の時より明らかに上達している。俺のレベルであいつについていけるか心配だ。光希がボールを投げる。それと同時に、そのボールがストレートだと確信した。珍しく、昔の癖を出してきた光希。ストレートを投げたあとに眼鏡を直すあの癖。予想通りストレートに飛んできたボールは、俺のバットに当たると、大きく跳ね返った。跳ね返ったボールは学校から出て、場外ホームランとなった。その直後、奏留の声が大空に響いた。
「結人ー!」
ベンチに戻ると、奏留が俺にハイタッチを求めてきた。「結人サイコー!なに、今の?ホームランとれっつったら場外?ヤバ!」
奏留が俺をべた褒めするからさすがに照れる。そりゃさっきのは我ながらすごいと思ったけど。
「龍!次お前。」
一年の竜が、喜びすぎてホームにたってなかったことに気づいた奏留は、テンションが上がったまま、龍に声をかける。
「あ、すいません。」
龍が急いで出ていく。龍は残念ながらアウトだった。でも、俺のホームランで七対四の三点差で勝っている。