俺は、部室に再びダッシュし、鞄を漁り、即行で体育館に戻る。



「あの、ケーキは部員と先生の分しか切り分けがなくて…だから、あげます」



今日の五限、調理実習で作ったマーマレードを使ったマフィン。味は女子からお墨付きを頂いているから大丈夫。



プラチナ先輩は、その綺麗な目をキラキラと輝かし、俺を見る。



「何!ケーキ君が作ったとー!?これ、うまひょー!俺、三年、御劔曜(みつるぎ ひかり)だよ!」



「あ、一年、小鳥遊椿っす」



御劔先輩ははむ、とリスのようにマフィンにかじりつき、更に目を輝かす。



「んみゃー!俺、椿ちゃん好き!お菓子くれる人、スキスキー!」



そして、俺より小さなその体で、御劔先輩は抱きついてきた。



何っつうか……何この可愛い生き物。