前半でファウル三つは危機的だ。



箱田先生がピカ先輩を下げ、代わりに有ちん先輩がやって来る。



「小鳥遊、前半は追い上げは捨てるばい。とりあえず、点差ば広げんようにしよ。後半から、反撃たい」



「リョーカイ」



「俺さ、小鳥遊や曜より優れてるとこ、もうひとつ見つけたばい。………前半終わるまで、見とかんね。チビなりのディフェンスを」



今日の有ちん先輩は、いつも以上に燃えている。



ミスマッチで、ファウルを二つ貰った俺と、三つのピカ先輩に対して爽やかだが黒い笑顔を向けると、コートに入っていった。



スタミナのある有ちん先輩は、178センチの、バスケをしているにしては小柄なその体で、相手にグッと顔を寄せる。



顔がくっついてしまうのではないか、というくらいにだ。