キャプテンは、突然繋いだ手を引き、横にあった塀みたいな壁に由貴先輩を押し付け、空いた右手は手首から肘までをドン、と由貴先輩の顔の横についた。
「うぉぉ…見事な壁ドンや。ゆっくんのピュアドンとは全然比べモンにならんわ」
「なっ………!まだ図書館ネタ引っ張るん!?まあ、キャプテンのは、何かもう、凄かばってんたい」
もう、二人の会話は顔が近付いた為、俺達の方には届かない。
東京の、明るすぎてあまり星のない夜空の中、二人は、甘ったるいキスをし始めた。
「あああ………キャプテン、大人や。俺んチューげな、比べたら戯れやな」
「ゆっくんは可愛かね。……さて、とりあえずホテル戻る?後、あん様子やと、秀ちゃん戻るまでに有ちんとゆっくん達の部屋、空けといた方がいいやろね」
「そっスね。俺等の部屋で、皆でトランプしようか」
察しの良いピカ先輩が、俺達の会話に着いていけない行雲先輩を引っ張り、ホテルへ引き返す。
俺は………とりあえず、戻ったら有ちん先輩を一生懸命に起こそう、そうしよう。