由貴先輩は、言い出しにくそうに、ゴニョゴニョ、と声を出す。



「そんなこと、他の女子やったら、自惚れるやろ?自覚が足りん」



「別に、俺が自惚れてなければ、自惚れじゃないと、思うのだか」



秀吉キャプテンって、あれだよな。流行りのちょいS男。美形でそれとか、狡いんじゃね?



「…シたことあっても、キスしてくれたことはないくせに、そういうん、勘違いするやろ、普通。違うと?」



心の中のツッコミが止まらない上に、由貴先輩がとんでもないバズーカを放ったことにより、俺達水高チーム賑やかは小声で『おぉぉ!』と騒ぐ。



小声でってのがポイントね。ここ重要。



「ってかちょっと待て!どゆこと?え、あん二人エッチ済み?でもキスまだて…訳分からん!」



「黙ってゆっくん!秀ちゃんってさ、どうとも思ってない子にチュー出来ても、気持ちが抑えきらんけん、バスケに支障出るけんて、由貴ちゃんにはキス出来んかったらしいよ」



慌てふためく真っ赤な行雲先輩に、ピカ先輩がナイスな解説をする。



まあ、キスって何か、特別な儀式みたいな感じがすんの、分かる気がするな。



でもさ、我慢してたんなら、あの由貴先輩のバズーカ攻撃は、完全アウトなんじゃね?



その証拠に、ほら………。