ちょっとずつこちらに近付いていた二人の足が止まり、二人が向き合う。



「長い付き合いやろ、分かるって。ずっと秀んこつ見とるけんね、違いは分かる」



「そうか。………不甲斐ない、男だな」



由貴先輩に答えたキャプテンの声は、なんだかいつもより弱くて、語尾が甘ったるい。



街灯に照らされる秀吉キャプテンは、色白で、綺麗で、そのキャプテンを真っ直ぐに見る由貴先輩の頬が、少し赤く染まる。



そして、横顔でもはっきりと分かるくらい、由貴先輩はいつものように、向日葵が咲いたような明るい笑顔になった。




「馬鹿ねぇ。私には、昔約束した通り、秀が決勝戦、決勝点を決める姿しか、イメージ湧いとらんて!………緊張すんのも、怖いんも分かる。キャプテンやもん。重圧もあるよね?」



きっと、お互いを想っているからこそ分かるんだ。苦悩や、相手がかけて欲しい言葉が。




「…俺は、お前以外には弱いところを上手く隠せるのに、お前には、全てバレてしまうんだな」



そんな由貴先輩に、秀吉キャプテンが微かだが、俺達には絶対見せない柔らか表情を向けた。