言われた通り、ホテルから左に走ると、何やら民家の塀にへばりつくかわいこちゃんズを発見。
「何してんの?あんたらバスケしに行ったんじゃ…もがっ!」
「しー!バレるやっか!静かに!」
バレるって、何に?なんて思いながら、口を抑えられたまま塀の向こうを見ると………。
「あれ、秀吉キャプテンと由貴先輩じゃん」
しかもいい雰囲気。耳を澄ませば会話が聞こえる距離。
「1on1しよったらな、二人が歩きよるとこに遭遇したと。で、尾行しよったら歩くスピードが遅くなったけん、こん状況っちゃんね」
ほほーう、成る程。これは覗かずにはいられないな。
三人で黙って耳を澄し、二人の会話に聞き耳を立てる。
「…………秀、緊張、してんの?」
由貴先輩が、二人の時だけに呼ぶ『秀』という呼び方で、秀吉キャプテンに優しく声をかける。
「え…あん二人て、ンなに親しかった?」
鈍感姫の行雲先輩の俺達への問いに、ただでさえ下がり眉のピカ先輩は、眉毛を更に下げて溜め息を漏らす。
気付いてなかったのはあんたくらいだよ、と心の中でツッコミつつ、覗き見を続行する。