そして、翌日金曜日の部活。
「「「行雲君ー!!」」」
オフェンスとディフェンスに別れた練習、相変わらずギャラリーはいっぱい。
リバウンドを制した行雲先輩に、女子からの黄色い声。
コートに関係者以外降りるのが禁止され、声援にもいい加減慣れたから、皆変わらず集中している。
「ナイスリー、行雲先輩」
「最近ジャンプ力上がったけんね、フェイクも冷静に見れる。お前ん提案した筋トレメニューとフットワークのトレーニング、スゲェわ」
正確に言うと親父に相談したらアドバイスくれたトレーニングなんだけど、皆の能力の底上げになってるみたいだ。
流石元NBA選手。オッサンだからって侮ったらいけねぇな。
行雲先輩はボールを籠に戻そうと視線を動かした。だけど、体育館の入り口を凝視した途端、俺にボールを投げ付けて、全力ダッシュ。
「な、何いきなり………あーね、成る程」
入り口の方を見やると、そこには、小柄な、眼鏡をかけた女子。
「あれが神楽木の好きな女子か」
「そうみたいっスねぇ」
寄って来た秀吉キャプテンと、微笑ましい光景を見て俺だけはニヤニヤ。