「えー、浅田美里ちゃん、行雲のクラスん学級委員長で、素朴な感じの見た目で、ぽわぽわしとらすけん女子から癒しの目で見られとる子やね」



「やけん、何でお前は知っとるとやァ!」



「あ、ちなみに、行雲がいつも教室で鼻の下伸ばして見つめとるみたいやけん、浅田ちゃん本人以外のクラスメイトにはバレとるばい」



こ………怖い、敏腕マネジの情報網恐るべし。



体はキャプテンに、心は由貴先輩にオフェンスされ、行雲先輩、ディフェンスの手だてもなく撃沈。



「もー。ホントウブやけん、からかうん楽しかねぇ。そういや私有ちんに用があんの、ちょっと」



「えー、こん面白い状況中抜け?」



何て言いながら、渋々出て行く十六夜有馬、由貴兄妹。



「ひ……酷い」



耳まで真っ赤にした行雲先輩は、膝を抱えて大きな図体を丸めて縮こまる。



「よしよし、行雲先輩、良かやないですか。好きな子と勉強会して、そんおかげで追試もパス出来そうで補習も免れれそうやし一石二鳥やないですか、羨ましかぁ」



「たっ…………泰河ァァ!大好き!お前、大好き!」



すかさずいじけ姫のフォローに入る優しい泰ちゃんに、姫がガバッと抱きついた。