194-58



第4クォーター終了の音が鳴り、会場が、歓声に包まれる。



「さてぇ、戻る?すぐうちの試合始まるやろうし。まあ、ベンチやけどー」



「そやなー。椿、行くばい!……椿?」



「オフェンスの傾向としては、左外角からの攻めが決まる確率が多く、リバウンドに入るスクリーンの癖は…」



頭の中で何度も試合を再生しては、慧心の全体の癖、傾向、個人のプレイへの対策を練り直す。



「おいってば!」



「………ん?あ!先輩ごめん!行かなきゃっすよね!」



ようやく行雲先輩の怒声に気付き顔を上げて立ち上がると、隣の泰ちゃんが苦笑いした。



「椿は一度集中すると、周りの音が聞こえなくなるけん気を付けなんよ」



「ごめんごめん。…でも大丈夫。試合観れて良かったわ」



ポケットに入れていたオーダー表を取り出し、次の自分達の試合のコートを確認し、俺達四人は席を後にした。