星城と慧心、強豪校同士の好カードに、会場の誰もが期待する。



けれどこの試合、いい意味でも悪い意味でも、会場の期待を裏切ることに。



「…………なんね、この一方的な試合!」



後ろから見ても分かる程に、行雲先輩の手が震えている。



「去年以上や。なんて強かチームやろう。大学生の試合ば見よるみたい」



続けて聞こえる泰ちゃんの声に、俺は返事も出来ない。



138-47



試合は、慧心の一方的な運びで、第2クォーター終了時点で、既に決していた。



パワー、スピード、技術力は、見る限り互角。なのに、慧心が圧倒的に凄いのは…。



「7番。ガードのあの7番が、上手すぎるんだ」



「椿、あれが柏原。去年まで中学生やった、俺達とタメの選手たい」



泰ちゃんの呟きに、思わずひゅっと息を呑む。



じゃあ、準決勝で勝ち上がれば、俺が、あいつとマッチアップするってこと?