キョトン、としていた由貴先輩だったけど、ふっといつもの笑顔になり、俺の方へ近付く。



「こんほんの数分の間に、馬鹿キャプテンに聞きたいこと、山程出来たんやなか?私がおるとあん人は話さんと 思うけん……よろしく、小鳥遊椿」



そう言うと、颯爽と由貴先輩はこの場を去って行ってしまう。



残された俺は、なんとも微妙な気持ちの中、ぎこちなく、ニヘラ、と笑う。



「あー、うん、秀吉キャプテンってお家遠い?今、親父迎えに来てるから、良かったらうちに来ません?冷えちゃいますし」



「うちは植木駅近くだから、少し遠い。助かる」



どうやら間の悪い俺の登場のおかげで、秀吉キャプテンはいつもの冷静なキャプテンに戻ってくれていて、ちょっとホッとした。