「俺は今日、この軟弱な右手のせいで高森に負けたんだ。こんなことじゃ、お前と、有馬との約束が、守れるか!」



「やけんて、使いすぎたらいかんて医者に言われとるやろが!馬鹿!」



普段、応援で声を張り上げることがあっても、怒りで声を張り上げたことのない由貴先輩のそれに、びく、と肩が震える。



二人が親しげなことに加え、いつもは名字呼びの有ちん先輩を呼び捨てにした秀吉キャプテンに、三人が何等かの特別な絆があることが簡単に読める。



これ…………俺、邪魔?



そう勘づき、この場から退散しようとそーっと後退りした、その時。



『君が好きだーと叫びーたい………』



バッキャロォォ俺のスマホ!某有名バスケアニメの主題歌着うたにしてますよそうですよ!じゃなくてさ!



タイミング悪く鳴ってしまった着信音に、秀吉キャプテンと由貴先輩の視線がこちらを向く。



「あー…いや、秀吉キャプテンが外にいるの見えて、止めに、来たっす」



あーもー!微妙な気持ち。マジ勘弁。