いつもは美しく入る3ポイントショットが、ゴールを潜るどころか、かすりもしない。



バチャバチャ、とお世辞にも格好良いとは言いがたいバウンド音を放ちながらボールが転がる。



秀吉キャプテンは歯を食い縛り、右手を左手でぎゅ、と掴む。



「秀よ「もうこれ以上止めて!秀!」



見てられなくて声をかけようとしたその時、切ない声が、その場を包む。



傘を差し、秀吉キャプテンの元へ走っていくのは…………由貴先輩、だった。



ん?ってか『秀!』って呼んだ?え、あの二人、そんな親しかったっけ?普段キャプテンって呼んでないっけ?



不躾なのは分かっているが、そのまま声をかけることなく、俺は聞き耳を立てる。