「よかった…バレなかった…」

私は安堵の溜息をつきながらもベッドに座れば反動で少し体が揺れた
そして胸を再び押さえればこの気持ちをどうにか捨て去ろうと
眉毛を少し寄せながら悩んでいた

「おい…入るぞ」
神山だ!…どうしよ…どうしよ…
私は必死の思いで布団の中に潜り込んだ
この心臓のバクバクが聞こえそうで…怖い

「お前…何やってんだよ…」
神山は笑いながら私を見ると布団をはぎ取れば
私の顔を覗き込んだ…
やっぱり…さっきのは神山だったんだ…
少し服が乱れてる

「別に…」
私が冷たく言えば何か感じたのか神山は窓の外へと視線を向けた
気まずい…以上に気まずい。
どうすればいいの…?
私はあたふたしながらとりあえず部屋を出ようとすれば

「何だよ…」
神山は私の腕をギュッと握ればその手に少し力を込めた
その痛みが胸の切なさと重なって…
この胸の歯車がぐるぐると回っていく…

「神山がそんなことしてるなんて思っても見なかったけどね…」
と少し乾いた笑い声とともに私は口だけが先走って
この胸に溜めていた黒いものをすべて吐き出していく

「まさかあんなところでね、お父様にばれないだけよかったよ…」
全部棒読みで…感情なんて一つもないただ溢れ出てくるものを
止められずに…

ドサッ…

「何するの…」
私はキッと相手を睨みながらベッドに両手首を押さえつけられた
その時の神山は気持ち悪い…
その声も視線も指先も…

「お前も感じたいんだろ…だったらしてやるよ」
神山の顔がだんだんと近づいてくる…

「嫌だ…っ」
私は精いっぱいの力を出して反抗するけどやっぱり男の人にはかなわなくて…
ただ無力なだけかもしれない…
瞳の奥からじんと熱いものがこみあげてくる

私は知らないうちに涙を流していた…
そして首元に向かっていた神山の顔も私の顔を見れば
自然と動きが止まっていて…

「なんで泣くんだよ…お前は先輩が好きじゃねえのかよ…」
「違うよ…私は、私は!…神山のことが___

私は思い切って立ち上がり神山に抱き着いた
そして神山と視線合わせれば…
耳元で…



「好き…」

と…