私のお昼休憩の場所と言えばいつも決まっている

それに私の親友とお弁当を食べる時間は唯一の力が抜ける場所なのだ

「疲れたー…」
と言う私の親友の森未悠

あの森財閥のご令嬢だ
未悠とは小さなころからの付き合いで私が泣き虫だったころ
お姉ちゃんのような性格で叱ってくれたり慰めてくれたり
その姉御肌は今も全く変わっていない


私は食べかけの卵焼きを全部食べてしまった

「流星先輩とはどうなってんの?」

未悠は真剣な顔つきで私を見つめる。
多分…面白半分ってことじゃないってことか…
未悠は私が先輩に片思いしていることは全て知っている

未悠にはやっぱり隠し通せなかったんだ…


「流星先輩とは未だに進展なしかな…」
「なんで!?」
「だって先輩は学校のアイドルだよ?そんな簡単に手出せないよ…」


私が俯いていると未悠は私の肩をがしっと掴んで‥

「恋は勢いが大事なんだよ!?…アイドルでも何でももっとアピールしなきゃ!!」
「そうだよね…」

未悠の言っていることは正しいんだ…
間違っていることなんて一つも言っていない

私がこんなに臆病だからかな…

「まぁ勢いに乗れ!とまでは言わないけど…美月のいいタイミングを見つけるべきだよ…」
「うん…」

未悠は最後は叱ったって慰めたって…
必ず優しい言葉をかけてくれる

私はここに来る途中に買ってきた紙パックの桃ジュースを飲む
こういうところは普通の高校生みたいで…
だから未悠といるときは多分普通の高校生なんだ…私。

「よしそろそろ帰る?」
「うん!…」


私は桃ジュースを飲み終えれば近くのごみ箱に捨てて
もう一度お嬢様に戻る準備をする

こんな私も嫌になるけど…
やらなきゃね!

やっぱり三枝家は裏切れないから…
神山の悲しい顔も見たくはないし…


私は臆病者かな?…
それは自分で決めることじゃないか。

私は立ち上がれば未悠に笑顔を見せて
教室へと向かった

まだ桜は散り続けている所だった