雨に濡れた、ブロンドのウェーブがかった髪。

長い睫毛に縁取られた、大きな瞳。

陶器のように白く滑らかな肌。

小さな顔には、まるで人間のお手本にさえ思えるほどに完璧なパーツが完璧に配置されている。


俺がサユの名前を口にしたことに、彼女は少し驚いたようだった。


……分かっている。

サユは、もういない。

だとすれば、この少女は。


フードを取り、愛しいひとと同じ顔をした彼女は、しかし俺の知るその人とは全く違う、強く射るような瞳でまっすぐに俺の目を見上げ、決して視線を逸らそうとはしなかった。


『もう解放してはあげられない』

そう言った彼女の言葉がふと思い出される。


「噂は本当よ。ミディリアナ・ファゴールは王女の妹で、王女がこの国を治めることに不満を持ってる。

……だから私、ミディに命を狙われているの」