「……カノン、泣いちゃダメ」
「……泣いてねーよ」
強がりなところも、好きだよ。
「ふふ……。そうだね。……好きだよ、カノン」
好き。
大好き。
溢れてどうしようもない愛しさを込めて、頬に口付けた。
「きっと、永遠の別れじゃない。私たち、いつかまた逢えるよ」
「サユ……」
「だから、お互い自慢し合えるくらい、幸せになっていようね」
私はきっと、今よりも幸せな時間なんて刻めない。
だけど、私にとってのいちばんの幸せは、カノンが幸せでいてくれることだから。
だからカノンが幸せでいてくれたら、それだけでいい。
カノン、どうか幸せになって。
私の分まで、自由に生きて。
何にも縛られないで、何にも捕らわれないで、カノンが生きたいように生きて。
……それが私の幸せだから。