「待ってくれ。今はその、呼び名のことでさ。」
「呼び名?」
「ああ。今のままだと、誰のこと言ってるか分かんないだろ?だから、改めて決めようと思って。」
先に頷いたのは、凪沙の方だった。
「そうですね。その方が、お互い仲良くなれそうですね。」
「僕も、その方がいいと思う。」
満場一致の賛成だ。
「よし、決まりだな!…で、何て呼ぶ?」
俺も分かっていた。名字が同じなら、下の名前で呼ぶしかない。だけど、それって…。
そんな俺の気持ちをくみ取ったらしい。凪沙の方が言った。
「良いじゃないですか。下の名前で呼んでも。」