「ねぇ、先生は、ジョシコーセー嫌いですか?」

「ばっかおま、正常な男が若い子嫌いなわけないだろ」



こちらの問い掛けに、目の前の人物は即座に言葉を返した。

わたしの髪を撫でながら、だけど先生はわざとらしいくらいのため息をつく。



「でもなぁ、今のおまえのこと食べちまうと、いろいろと不都合がなぁ」

「……? 食べるのに、今はダメとかいいとか、あるんですか?」

「そりゃあな、オトナの世界には体裁とか俗識とか、面倒くせぇことがいろいろあんだよ」



見つめ合ったまま、わたしはその言葉を聞いてなんだか泣きそうになる。

先生はそれに気付いて、にやりといつもの意地悪そうな笑みを浮かべた。



「んな顔すんなよ。あとすこーし待ったら、おまえの望む通りにしてやるよ」

「……本当?」

「ああ。おまえはそれまで、適当に学生やって、女磨いとけ」

「……はい、わかりました」



先生の指に目じりを拭われながら、わたしはこくんと頷いた。

いい子、と先生がまた髪を撫でるから、うれしくなって思わず微笑む。