「あ、それってよくCMでやってる、傷が早く治る絆創膏ってやつ?」

「そう。これを貼ると、傷が乾燥しなくて済むんです。……桜井さん、ありがとうございます」



にっこり笑顔のオプション付きで、後半の労いの言葉はわたしに対してのものだ。

わたしはぺこりと小さく頭を下げただけで、また事務机前に置いてある椅子へと戻る。



「さんきゅーせんせ! 桜井さんもありがと!」

「女の子なんだから、今度からは傷作らないように気をつけてくださいね」

「あはっ、はーい」



最後まで明るく、土屋さんは保健室を出て行った。

ぴしゃりとドアが閉まったとほぼ同時、榊先生は浮かべていたにこやかな表情を消して、細く息を吐く。



「ふー。土屋のおてんばっぷりは相変わらずだな」

「榊先生の猫被りっぷりも相変わらずお見事でしたよ」

「あぁん? それは当然のことだろーが」



威厳たっぷりにそう話して、先生はどかっと窓際のベッドに腰をおろした。

それを見届けてから、わたしはアンケート集計作業を再開する。