「……ねぇ先生、わたしを食べてくれません?」

「とうとう頭沸いたか、女子高生」



手元のアンケート用紙から視線を外さないまま言ったわたしのせりふに、榊先生は間髪入れずバッサリと辛辣な言葉を返した。

薬品の並んだ棚の前で、くるりとこちらを振り向く。

綺麗なその顔には、ありありと不信感が表れていて。



「おまえアレか、もともと不思議っ子きどってたけど、今度は官能小説にでも影響されたのか?」

「? かんのー?」

「……いや、知らないならいい」



首をかしげるわたしを見て、榊先生は再び前に向き直り薬品棚の中身をチェックし始めた。

普段は先生が座っている椅子に腰掛け、アンケートを集計していた手を止めて、白衣に包まれたその後ろ姿をじっと見る。