甘味処「なごみ屋」の午後は、まるで時が止まったかのように静かだった。
私は黒くて大きい丈夫なテーブルに頭を垂れて、ボーっとしていた。
お昼時を過ぎた店はいつもこんな感じだ。4月になり世間も慌ただしくなったお陰で、お客さんはだいぶ少なくなった。
こうもやることがないとかえって苦痛だなぁ。どうやって暇を消費しよう。
そんなことを考えていると、店主が厨房から出てきて私の元へ歩み寄ってきた。
「加代!サボってんじゃないよ!」
「でっ!」
般若のように恐ろしい顔をして私の頭をピシャリと叩いたのは、なごみ屋の店主であり私の祖母でもあるタエさんだった。