「どういうことってそのままの意味だよ。


先輩……っていうか、バスケ部のやつら、俺がお前のこと好きなの知ってるし」



「……え、」



なにそれ。



「気付いてねぇのお前だけ」


「……う、うそっ!?」


「ほんと。だから、武也先輩の命令に素直に従ったんだよ。それなのにお前、俺の気持ち全然気付いてねぇから」


「……うっ」




そう言えば、最初それで佐久間に無視されたんだった。




だってさ、今まで意地悪だったのに、突然“恋人”を強調するようになったんだよ?



誰だって変だって思うでしょ。








「──悪いけど、俺、もうお前とニセモノの恋人になるつもりねぇから」









「……え?」



あれ?今のなんだか聞き覚えあるような……?




「合宿のとき」



「……あ」



そうだ。


たしか佐久間が武ちゃん先輩に言った言葉だ。




「俺はお前と“ニセモノの恋人”になんかなりたくなかったんだよ。“本物の恋人”になりたかった」



「……っ」




“本物の、恋人”……?