そう言う市原さんは、ほんとに野々宮のことを考えていて、優しい性格がにじみ出ていた。


きっと野々宮には好きな人がいて、それがつらい恋だから、大輝と一緒の時間を過ごしてほしいってことだと思う。




「……とにかく、よかったな。俺は市原さんと行くし……」



自分でそう言っておきながら、顔がにやけてしまう。



嬉しそうに俺の誘いを受け入れてくれた市原さんが、すごく可愛くて……。


俺まで嬉しくなったんだ。




「市原さんとふたり?鳴海も市原さんと行きたいんじゃねーの?」


「……あ」



鳴海との約束もあるんだった。