【翼Side】



昨日雨に濡れてないか、とか。


そのせいで風邪を引いてないか、とか。


そんな心配からつい、市原さんに手を出してしまったんだ。




「ああ……ごめん」


「いえ!……それでは!」



市原さんのおでこから手のひらを退けた瞬間。


市原さんはものすごいスピードでいなくなってしまった。



……俺、嫌われてんのかな。




「日向先輩っ!」



ついため息をついたとき、誰かに名前を呼ばれて周りを見回した。


すると、近くに短めのショートが特徴的な女の子が立っていることに気がついた。