ちょっと意地悪そうな顔してるくせに、どこか優しくて。


あんな近距離で見つめ返せ、っていう方が無理な話だ。




「……あれ?市原?」



自販機に背中を預けてしゃがみこんだとき、誰かに呼ばれた。


瞬時にまた立ち上がって、そちらを見た。




「流川先生!」



プリントを片手に、ホールを覗き込んだ流川先生。


キョロキョロとホールを見渡したあと、あたしに目を移した。




「市原だけか?確か、大輝が勉強会するとか言ってたけど……」


「あっ、流川くん達は教室で勉強してますよ!」



誤解を招かないように、すぐさまそう言った。