名前を呼ばれて、ゆっくりと市原さんの方へ向いた。




「……なに?」


「よかったら、ここ教えてほしいんだけど……」



机と机がくっついているところにそっとノートを置いた市原さん。



“軌跡と方程式”というタイトルが書いてあるノート。


すげぇ字がきれい……。




「日向くん?どうしたの?」



市原さんの不思議そうな声でハッと我に返った。


つい、市原さんの字がきれいで見惚れてた……。




「なんでもない。……ただ、字がすげぇきれいだなって……」



習字でも習ってたのかもしんねぇな、この上手さは。