すると、その様子に見兼ねたように、山瀬が「おまえはすっこんでろ」とでも言いた気に前田の頭を小突き、真っ直ぐに幸治を見た。
「君は、東京の子らしいな。どうしてこっちに?」
「正月やったから、叔父さんの家に帰省してたんです。父はおらんくて母は3年前に亡くなってるんで、唯一の肉親なんです」
それを聞いている山瀬の表情に、だんだんと笑顔が浮かび上がってきた。
まるで、ずっとずっと待ち望んでいた何かに出逢えたかのように。
「そうかぁ。それは大変やったなぁ。ところで君。東京はどこや?」
「中央区月島です」
「もう一度聞くが、仲辻幸治君は、東京は月島に住んでて、母親は3年前に亡くなったと。で、叔父さんの家に帰省しとったんやな」
「はい」
そこまで聞くと、山瀬の笑顔はもう頂点に達していた。
なにかを確信したその表情に、幸治は少しの不気味さを覚えた。
山瀬は、吸っていた煙草を灰皿に捨てると、すぐにまた一本取り出し口にくわえた。
「じゃあ、君のアリバイを証明してくれ。その時、君はどこにおった?」
「叔父さんの家です」
「おい前田。仲辻宅には逆探しにいった捜査員がおるよな。すぐに確認とれ。確認とれ次第彼は釈放や」
「いや、でも」
「ええから、早よしろ!」
山瀬は目の前の机を思い切り蹴飛ばした。
それを見た前田は、駆け足で取調室を出て行った。
「君は、東京の子らしいな。どうしてこっちに?」
「正月やったから、叔父さんの家に帰省してたんです。父はおらんくて母は3年前に亡くなってるんで、唯一の肉親なんです」
それを聞いている山瀬の表情に、だんだんと笑顔が浮かび上がってきた。
まるで、ずっとずっと待ち望んでいた何かに出逢えたかのように。
「そうかぁ。それは大変やったなぁ。ところで君。東京はどこや?」
「中央区月島です」
「もう一度聞くが、仲辻幸治君は、東京は月島に住んでて、母親は3年前に亡くなったと。で、叔父さんの家に帰省しとったんやな」
「はい」
そこまで聞くと、山瀬の笑顔はもう頂点に達していた。
なにかを確信したその表情に、幸治は少しの不気味さを覚えた。
山瀬は、吸っていた煙草を灰皿に捨てると、すぐにまた一本取り出し口にくわえた。
「じゃあ、君のアリバイを証明してくれ。その時、君はどこにおった?」
「叔父さんの家です」
「おい前田。仲辻宅には逆探しにいった捜査員がおるよな。すぐに確認とれ。確認とれ次第彼は釈放や」
「いや、でも」
「ええから、早よしろ!」
山瀬は目の前の机を思い切り蹴飛ばした。
それを見た前田は、駆け足で取調室を出て行った。