空から舞い降りてくる白い結晶は、クリスマスイブという名で浮足立っている人々の心を更に踊らせるには、十分すぎる武器だろう。
美帆は銀座一丁目駅を出ると、人込みを掻き分け、駆け足で目的地へと向かった。
約束の時間は16時だというのに、美帆の腕時計は既に16時を過ぎていたからだ。
目的地に着いたのは、16時15分。
中央通り沿いにある、小綺麗な喫茶店。
珈琲が、一杯800円もするような店だ。
店に入ると、中央通りに面した窓際で手を挙げている男性が目に映った。
真ん中分けのサラリとした髪の毛に、細く吊り上がった切れ長の目。
見るからに高級だと分かるようなスーツに身を纏った彼は、美帆が彼に気付くと、ニコっと笑い手招きをした。
「ごめんなさい。遅くなって」
美帆はそう言いながら席に着いた。
「別に構わないよ。それより何を飲む?」
「あ、私はミルクティーで」
松岡和幸は、わかった、と言うと、馴れた様子で店員を呼び、ミルクティーを頼んだ。
美帆が松岡と知り合ったのは、ClubBellで働き始めてすぐの事だった。
美帆が働き始める前からClubBellに通っていた松岡の席に、ヘルプとして美帆が席に着いた事がきっかけだ。
同い年という事もあり、美帆と松岡はすぐに息統合し、もともと指名というものをしていなかった松岡も、今では毎回美帆を指名するという有様だ。
そして美帆からしてみれば、安定した指名がとれ
、尚且つ今日のように同伴もしてもらえる。
言うなれば上客だ。
松岡は、明伸大学経済学部の学生だ。
明伸大学は、言わずとも知れた名門大学で、名前を出しただけで裕福な家系の出ということが分かる。
なので、彼がClubBellに通い、これから美帆にクリスマスプレゼントとして、高級ブランドの時計を購入することも頷ける。
美帆は、いかにも高級そうなカップに入ったミルクティーを啜りながら外を見た。
硝子窓の向こうには、さっき美帆が走ってきた中央通りが見える。
さっきは気が付かなかったが、クリスマスイブということもあり、至る所で洋菓子店が、サンタクロースの衣装に身を包み、路上までケーキを売りに出ていた。
美帆は銀座一丁目駅を出ると、人込みを掻き分け、駆け足で目的地へと向かった。
約束の時間は16時だというのに、美帆の腕時計は既に16時を過ぎていたからだ。
目的地に着いたのは、16時15分。
中央通り沿いにある、小綺麗な喫茶店。
珈琲が、一杯800円もするような店だ。
店に入ると、中央通りに面した窓際で手を挙げている男性が目に映った。
真ん中分けのサラリとした髪の毛に、細く吊り上がった切れ長の目。
見るからに高級だと分かるようなスーツに身を纏った彼は、美帆が彼に気付くと、ニコっと笑い手招きをした。
「ごめんなさい。遅くなって」
美帆はそう言いながら席に着いた。
「別に構わないよ。それより何を飲む?」
「あ、私はミルクティーで」
松岡和幸は、わかった、と言うと、馴れた様子で店員を呼び、ミルクティーを頼んだ。
美帆が松岡と知り合ったのは、ClubBellで働き始めてすぐの事だった。
美帆が働き始める前からClubBellに通っていた松岡の席に、ヘルプとして美帆が席に着いた事がきっかけだ。
同い年という事もあり、美帆と松岡はすぐに息統合し、もともと指名というものをしていなかった松岡も、今では毎回美帆を指名するという有様だ。
そして美帆からしてみれば、安定した指名がとれ
、尚且つ今日のように同伴もしてもらえる。
言うなれば上客だ。
松岡は、明伸大学経済学部の学生だ。
明伸大学は、言わずとも知れた名門大学で、名前を出しただけで裕福な家系の出ということが分かる。
なので、彼がClubBellに通い、これから美帆にクリスマスプレゼントとして、高級ブランドの時計を購入することも頷ける。
美帆は、いかにも高級そうなカップに入ったミルクティーを啜りながら外を見た。
硝子窓の向こうには、さっき美帆が走ってきた中央通りが見える。
さっきは気が付かなかったが、クリスマスイブということもあり、至る所で洋菓子店が、サンタクロースの衣装に身を包み、路上までケーキを売りに出ていた。