街灯もなく、暗闇に包まれた住宅街に、ぽつりと停まる白の軽自動車。
その軽自動車の中から、ポツリと光る一点の火。
「あ、安田さん。すいません禁煙車なんですよ」
安田はそう言われると黙って火を消し、口にくわえた煙草を箱の中へ戻した。
安田が車に乗り込んでから3分が経過したが、依然として安田は喋ろうとせず、ただ前方に広がる暗闇だけを見つめていた。
「安田さん。貴方は、ClubBellで働いて何年になります?」
三井の問いにも、安田は答えようとせずただ黙々と前方を見つめている。
「黙秘ってやつですか?」
三井はそういうと、胸ポケットから手帳を出した。
「まぁ、いいですけど。もう20年前になりますかね、あの店。ClubBell1983年5月開店。開店と同時にマネージャーとなる。1976年、池袋にあるパブラウンジ白馬にて仲辻雪乃と出会う。1970年、現在の妻、民と結婚。安田さんは、1943年産まれですよね?」
「おい、お前一体どういうつもりだ?」
安田はとうとう痺れを切らし、三井を見た。
「どうもこうもないですよ。僕は僕で色々調べてるんです。因みに、雪乃さんと暮らし始めたのは、彼女のお腹に子供が宿ってからですよね?一人じゃ何かと大変だろうって。確かClubBellの開店と同時ですよね」
「お前、おれを疑ってるのか?」
「違いますよ。ただね、赤の他人が一緒に暮らすっていうのが不思議で。人の気持ちってのは調べようがないんでね」
「なにが言いたいんだ?」
「簡単ですよ。仲辻雪乃に恋愛感情があったかどうかです」
それを聞いた瞬間、安田は顔を紅潮させ三井につかみ掛かった。
「ふざけるな!恋愛感情だと?なんでおれが雪乃に恋愛感情を抱くんだ。おれはなぁ、あいつが18歳で上京してきた時から知ってんだ。妹のように可愛がってきたんだ。それをお前は!」
三井はフンと鼻を鳴らし、サイドブレーキを握った。
「やっと喋ってくれましたね。それだけ可愛がってきた妹のような女性。さぞ悔しかったでしょ」
「当たり前だ!」
三井は、サイドブレーキを下ろすとギアをドライブに入れ、ゆっくりと車を発進させた。
「ちょっとドライブしましょう」
その軽自動車の中から、ポツリと光る一点の火。
「あ、安田さん。すいません禁煙車なんですよ」
安田はそう言われると黙って火を消し、口にくわえた煙草を箱の中へ戻した。
安田が車に乗り込んでから3分が経過したが、依然として安田は喋ろうとせず、ただ前方に広がる暗闇だけを見つめていた。
「安田さん。貴方は、ClubBellで働いて何年になります?」
三井の問いにも、安田は答えようとせずただ黙々と前方を見つめている。
「黙秘ってやつですか?」
三井はそういうと、胸ポケットから手帳を出した。
「まぁ、いいですけど。もう20年前になりますかね、あの店。ClubBell1983年5月開店。開店と同時にマネージャーとなる。1976年、池袋にあるパブラウンジ白馬にて仲辻雪乃と出会う。1970年、現在の妻、民と結婚。安田さんは、1943年産まれですよね?」
「おい、お前一体どういうつもりだ?」
安田はとうとう痺れを切らし、三井を見た。
「どうもこうもないですよ。僕は僕で色々調べてるんです。因みに、雪乃さんと暮らし始めたのは、彼女のお腹に子供が宿ってからですよね?一人じゃ何かと大変だろうって。確かClubBellの開店と同時ですよね」
「お前、おれを疑ってるのか?」
「違いますよ。ただね、赤の他人が一緒に暮らすっていうのが不思議で。人の気持ちってのは調べようがないんでね」
「なにが言いたいんだ?」
「簡単ですよ。仲辻雪乃に恋愛感情があったかどうかです」
それを聞いた瞬間、安田は顔を紅潮させ三井につかみ掛かった。
「ふざけるな!恋愛感情だと?なんでおれが雪乃に恋愛感情を抱くんだ。おれはなぁ、あいつが18歳で上京してきた時から知ってんだ。妹のように可愛がってきたんだ。それをお前は!」
三井はフンと鼻を鳴らし、サイドブレーキを握った。
「やっと喋ってくれましたね。それだけ可愛がってきた妹のような女性。さぞ悔しかったでしょ」
「当たり前だ!」
三井は、サイドブレーキを下ろすとギアをドライブに入れ、ゆっくりと車を発進させた。
「ちょっとドライブしましょう」