部屋に入るとすぐルイは背中から飛び降り、雑然とものが散らばっている床を飛ぶように駆け抜けるとベッドへダイビングした。
そして振り向きざま、鋭い眼光で俺を見る。


「なんかあったんだ?」



女は鋭い……のか、適当に言ってるのか分からないが、ルイの言ってることはいちいちもっともだったりもする。
ガキに余計なこと言われたくないとは思うけど、俺だってそんな風に言えるほど大人でもない。



「あった。……でも言いたくない」



素直にそう言うと、ルイははあと盛大な溜息をついた。


「わたし、思うんだけど」

「うん」

「サユねーちゃんも頼りにされたいんじゃないの」

「ん?」

「お兄ちゃんが頼られたいのと一緒で、お姉ちゃんだって頼られたいんじゃない?」


ルイの眼差しが俺を捉え、俺はそこから目を逸らした。


恥ずかしくて。
こんなガキンチョにわかることが俺には分からない。

だってさ、男なんだから。
好きな女の子を守りたいんだよ。

年下だからって、守られたくなんかない。