一気に廊下を駆け抜けて、昇降口までたどり着いて息をついた。

泣かせた、泣かせた、泣かせた。
そう思うだけですげぇ落ち込む。

俺まで目が潤んでしまっていて、それがまた情けない。

下駄箱に頭を突っ込んで反省。

くせぇ。
すぐにそんなことを思ってしまって、本当に反省してるのかよ俺、なんて一人ツッコミを繰り返す。


「はあ、中津川くん。速すぎ」


足音とともに聞こえてきた新見の声に振り向く。
なんだよ、追いかけてきたのか。


「なんだよ。なんか用か」

「修羅場だったようだから。見物に来たのよ」

「見物かよ。俺は晒しもんじゃねーぞ」

「だったら人目につくところであんなことしないことね」


毒のある顔で笑わえると、つっぱる気も失せてくる。
相変わらずすげー女だなぁ。

思わず笑ってしまうと、新見は無表情のまま近づいてきた。


「……何があったの?」

「別に。ただサユちゃんがすげーってだけで」


俺は、先ほどの話を新見に聞かせた。
守りたかった彼女に、いつの間にか守られていた悔しさも、なんだか流れで話してしまった。


「ふうん。確かに葉山先輩って、ただのふにゃーんじゃないのね」

「周りに気配りし過ぎなんだよ。昔からそういうところがあるんだ」

「何言っても笑って受け流すものね。あの人」

「そうだよなぁ」