「幼なじみってさ、恋愛対象になると思う?」
「さあ? 普通はなるんじゃない? 私は無いけど」
「なんで?」
「だって。和晃がおもらししてた頃から知ってるのよ。どこにどうときめけと?」
「……そうだよなぁ」
ってことはサユちゃんも俺のことそんな感じで思ってるのかな。
「逆に聞くけど。幼なじみってことは小さい頃から彼女を知ってるわけでしょ? なにもかも分かっているのになんで好きになるの?」
「え?」
「分かりきったものに興味なんて沸くかしら」
相変わらず、竹を割ったような物言いの新見に、何と返していいか分からない。
「……俺はまだわかってないから。彼女の本音とか色々」
「ふうん。そんなもんかしら。私はてっきり思い込みかと思った」
興味をなくしたように、新見は颯爽と歩いていく。
思い込み……なのか?
そうはっきり言われるとなんだか悩んでしまう。
「戻りましたー」
教室を開けた途端に「遅いー」という第一声。
どいつもこいつも、人に買い物させておいて図々しいな。
先輩方に配っていき、最後にサユちゃんのミルクティーを取り出す。
「はい、サユちゃん」
「ありがとう。冷たくて美味しそう」
笑う彼女に、心臓がドキンと踊る。
これが思い込みだとは俺には思えない。