その後、休憩を入れることになり、買出し班となるのは当然一年生。
俺と新見は連れ立って学校から数分のコンビニに来ていた。


「中津川くんって、葉山先輩狙い?」

「……その、やらしい言い方何とかならないのか?」

「やらしくないわよ。男ってああいうタイプが好きだよね。ふにゃーって感じの」

「サユちゃんはふにゃーとはしてないぞ」

「そうかしら」


とりあえず頼まれたものを突っ込んでいくと、かごの中はあっという間に一杯になった。新見はそれを何事も無く持ち上げようとする。平気そうな顔はしているが、手先はプルプル震えている。
こういう時こそいつもの強烈な調子で男に持てって言えばいいと思うのだが。

見かねて脇からカゴを奪うと、新見は驚いたように俺を見上げる。


「何?」

「俺もつから、金払ってよ。ほら、預かってきた金」


ポケットに入れてきたジャラジャラの小銭達を、新見の手に預ける。


「……わかったわよ」


レジに行き、会計を済ます。袋に詰め込んでもらったそれを再び俺が持つと、新見は後ろからちょこちょことついてきた。


「幼なじみなんだっけ?」

「は?」

「アンタと、葉山先輩」

「お前、どこまで話立ち聞きしてんだよ」

「アンタだって人のこと言えないでしょ」


そう言われると返す言葉はない。


「そっちこそ幼なじみだろ? 和晃と」

「そうね。三軒隣の家だから」


それはまた生粋の幼なじみだな。
それこそ、恥ずかしい過去の一つや二つ握られていそうなもんだ。