自分の気持ちを伝えるのが苦手なラビィという名の女の子天使が、俺には紗優ちゃんと重なって見えて。
泣いてるのを我慢していたサユちゃんについ言っちゃったんだった。
『サユちゃん、泣いて』
やべぇ、思い出したら、格好悪くて恥ずかしくなる。
我慢しないで泣いてよって言った。
そこまではいいんだ。俺って結構カッコイイ。
なのに、自分が大泣きしたんだ。
泣いてるサユちゃんを見ていたら、釣られて泣きたくなって。
「うおぉぉぉぉ」
過去の自分が恥ずかしくて頭を抱えて唸ると、両親はぎょっとしたように俺を見た。
「サトル、大丈夫?」
「暑さでイカれたか? 顔赤いぞ」
「こんな力仕事してりゃ赤くもなるよ!」
「え、まだちょっとしかやってないじゃないのー」
母さんの突っ込みを誤魔化すのも大変だ。
火照って頬を冷ますべく、手当たり次第にそのあたりの本で仰ぐ。
……でも、それがきっかけだったと思う。
あれから、サユちゃんは良く俺と遊んでくれるようになった。
こんな風に絵だって一緒に描いたり、絵本を読んでくれたり。