リビングではふくれっ面のサユちゃんが待ち受けていた。


「遅いよー。お茶冷めちゃうよ」

「ごめん。あいつらもう少ししたら来るって」


サユちゃんが立ったまま準備をしているから、手伝おうかとウロウロしていると座るように指示された。


「サトルくん、紅茶でいい? お砂糖は?」

「あ、俺砂糖いらない。甘いもんはあんまり」

「そうなの? お菓子大丈夫かな。マドレーヌとチーズスティック入ってたけど、どっちがいい?」

「チーズので」


俺の前にお菓子をおき、気を使ってなのか別の皿におせんべいを出してくれた。
そして向かいに座ったサユちゃんは、紅茶にスティックの砂糖を2本入れた。


「サユちゃんは甘党?」

「うん。甘いほうが好き」

「なんかそんな感じ」

「サトルくんは意外だった。甘いもの好きそうなイメージだったのに」


そんなイメージあるかな、と自分の姿を見回す。
背は標準くらいあるし、どっちかというとゴツゴツしている方だと思うけど。


「……目がまん丸でクリクリだったから、髪伸ばしたら女の子にも見えるなぁとか思ったこともあったの」


続けられた言葉で、サユちゃんが保育園児の頃の俺の話をしていることに気づく。