「新見の私服姿初めて見た。可愛いな、スカートとか履くんだ」
私服はロングスカートが多い。別にスカートが好きなわけじゃなく、単に母親が手作りするからだ。
しかしそんな説明も、コイツにする必要性は全くない。
なぜなら、コイツは同じ学年とはいえクラスも違うし委員もかぶってないし、要は私には接点の無いはずの男だからだ。
「アンタがいうと変態臭い。弁償してよ、私のコロッケ」
「いいじゃん。分け合うことも大事」
「友達とならね」
「彼氏とでもいいじゃん」
「誰が彼氏よ」
しかもこの男、顔がいいからなのか体つきがいいからなのか、……まあ両方からなんだろうけど、とにかくモテる男らしくて図々しいことこの上ない。
何がきっかけか知らないけど私のことを気に入ったらしく、ある日突然ものすごい猛アプローチを仕掛けてくるようになったのだがうるさくて仕方ない。はっきり言うとメーワク。
「俺、俺。いいじゃん、俺と付きあおうよ」
「嫌」
「彼氏いないんだろ? 新見」
「別に欲しくない」
「またまた。サトルにフラれて寂しいとこだろ?」
一応頑張って平静を保っていた線がぶちきれる。余計なお世話よ、私が振られたからってなんでアンタを喜ばせるようなことをしなきゃならないのよ。