「久しぶりだねぇ。同じ学校だったんだ」
「そうですよ。追いかけてきたんですから! サユちゃん先輩、また学級委員やりますか?」
「んー。どうかなー」
「多分やらされるわよ。立候補が無ければ推薦制じゃん」
先輩もいつの間にか話に加わってくる。
「じゃあ俺も立候補します! また一緒に頑張りましょうね、サユちゃん先輩」
「あはは。そうだねー」
呆然とする俺を尻目に、訳知り顔で会話を勧める夏目信也。
畜生、踏みつけてやりたいほど憎らしい。
サユちゃんは夏目と話しながらも、チラチラと俺の方を見る。
彼女も話したがってる? って思ったら少しだけ余裕が生まれてきた。
まあいい、今は少しだけ先を譲ってやろう。
勝ち誇って大人しくしていたら、そのうちに赤ジャージの教師がこっちを向いて呼びかけた。手には最新式らしい赤いスマホを持っている。
「おい、サユ。これってどうなってんだ?」
なんで呼び捨てなんだよ、このエロ教師ー!
「あー勝手に触んないでよ、先生。あ、信也くん、サトルくん、またね」
顔を真赤にして、あっさりと行ってしまうサユちゃん。
結局殆ど話せず、俺は気分の上では両腕をついて屈みこんだ。
イヤ、本当にはしていないが。
体育教師に、訳の分からん強引なクラスメイト。
想定外のライバルが二人。
現実って甘くない。
そう痛感させられ、俺はなんだか途方に暮れた。