「おいおい、揉めるなよ。つまりあれか、中村はサユにヤキモチを焼いていたのか? いやぁ、俺って罪な男だなぁ」
間に入ろうとするのは木下。
しかしコイツの反応もどうも間違っている。
中村は顔を赤くして、そっぽを向いた。
「そんなんじゃありません! 私は単純に葉山先輩とか新見さんみたいな人は嫌いなの」
「嫌いだからってなんでこんなことするんだよ」
そこが俺には解せない。
単純に嫌がらせなのか?
本気で分からずに尋ねると、新見が蔑んだような目で俺を見た。
「中津川くんは馬鹿ね。こういうことをする女の心理はこうよ。自分より人気のある人間の評判が下がれば、自分の価値が上がるって思ってるの。私や葉山先輩の人気を落として、自分が上がりたいのよ。そうでしょ、中村さん」
「そ、そんなんじゃないわよ!」
反論もあまり説得力がない。中村は力が抜けたようにしゃがみこんだので、俺は掴んでいた腕を離した。
「ちょ、待て。俺にはその理論全く分からない。なんでだ? 新見は新見だし、中村は中村だろ? 新見が上がったから中村が上がるって、成績じゃあるまいし」
俺の言葉に、何故か木下が反応する。