「お前、隠し撮りしたのかよ」
「たまたま撮れちゃっただけよ」
「一年の俺達がどうしてたまたま三階を通るんだよ。おかしいだろ?」
「ああもう、うるさい、離して!」
中村は顔を真赤にして怒鳴る。
そこへ割って入ってきたのは木下だ。
「サトル、女の子相手に乱暴はするな。中村も、なんでこんな写真撮った?」
木下に声をかけられると、中村は急にびくっとして黙り込んだ。
サユはゆっくりと新見のそばまで来て、その携帯を覗きこんだ。
「……中村さん。木下先生のファンなんじゃないの?」
「ちょ、止めて」
「私、前にも言ったよね。木下先生とは何でもないって。こんなことしたって、先生を困らせるだけなのにどうして?」
「だ、だって。先生、いつも葉山先輩にばっかり構うじゃん。可愛いからって調子乗らないでよ。少しは嫌な思いすればいいんだわ!」
中村は真っ赤になりながら、サユに反論しようと試みる。でも、サユは平然とした顔で黙って聞いていた。その反応が面白く無いのか、中村は攻撃の手を新見にまで広げる。
「新見さんだって、性格悪いくせにいろんな男の子に構われてさ。裏で一体どんな手使ってるのかわからないわ」
「私は何もしてないけどね。単純にアンタより性格良いからじゃないの?」
新見は平然と言い返す。しかも鼻で笑うような態度でだ。