学校について一番に目に飛び込んできたのは、頭を下げる新見明菜だった。
「昨日は悪かったわ」
コイツの殊勝な姿を見る日がこようとは。はっきり言おう、気持ち悪い。
俺は慌てて新見に顔をあげるように言った。すると彼女は神妙な顔をして俺を見る。
「ど、どうしたんだよ、気持ちワリィ。あ、そういや昨日菓子さんきゅ」
「や、腹はまずかったわ。お母さんにもしこたま怒られたの。今度から背中にするわね」
蹴るところは変わらないのか。相変わらずで逆にホッとする。
「いいよ。昨日のは俺が悪かった。……ごめん。お前の気持ちを否定したわけじゃなく、あれ以上噂を広められたいためにはその方がいいかなって思ってさ」
「噂なんか勝手に言ってるんだから放っておけばいいじゃないの。それより、……私、アンタが『ちょっと揺れた』って言ってくれた時、嬉しかったんだよ。だから。……それも否定されたみたいで嫌だった。それだけ。別に葉山先輩との仲を邪魔しようとは思ってないから」
「ん。じゃあこれでチャラな」
「うん」
人目につくと面倒臭いので、俺達は陰で握手を交わす。
こういうところをなし崩しにせずはっきり言いに来る辺り、やっぱり新見は男前で、言ってることは案外可愛い。
颯は見る目があると思う。
モテるのを自覚しているから自信過剰に見えることもあるけど、颯は性格もいいし友達思いなところもあるしいいやつだ。新見も颯の良さに気づけばいいのに……なんて思うのはお節介か。
「昨日は悪かったわ」
コイツの殊勝な姿を見る日がこようとは。はっきり言おう、気持ち悪い。
俺は慌てて新見に顔をあげるように言った。すると彼女は神妙な顔をして俺を見る。
「ど、どうしたんだよ、気持ちワリィ。あ、そういや昨日菓子さんきゅ」
「や、腹はまずかったわ。お母さんにもしこたま怒られたの。今度から背中にするわね」
蹴るところは変わらないのか。相変わらずで逆にホッとする。
「いいよ。昨日のは俺が悪かった。……ごめん。お前の気持ちを否定したわけじゃなく、あれ以上噂を広められたいためにはその方がいいかなって思ってさ」
「噂なんか勝手に言ってるんだから放っておけばいいじゃないの。それより、……私、アンタが『ちょっと揺れた』って言ってくれた時、嬉しかったんだよ。だから。……それも否定されたみたいで嫌だった。それだけ。別に葉山先輩との仲を邪魔しようとは思ってないから」
「ん。じゃあこれでチャラな」
「うん」
人目につくと面倒臭いので、俺達は陰で握手を交わす。
こういうところをなし崩しにせずはっきり言いに来る辺り、やっぱり新見は男前で、言ってることは案外可愛い。
颯は見る目があると思う。
モテるのを自覚しているから自信過剰に見えることもあるけど、颯は性格もいいし友達思いなところもあるしいいやつだ。新見も颯の良さに気づけばいいのに……なんて思うのはお節介か。