「……何?」
「どうせ足遅いよ。サトルくんのイジワル」
ふてくされるのも可愛いとかあり得ないな。いじめるのが癖になりそうで怖い。
「サユちゃんは遅くてもいいよ」
「どうして?」
「遅れそうになったら、俺がおぶってあげる」
その途端にまた彼女の顔が真っ赤になっていく。
「お、おぶわれなくたって平気だもん!」
「あはは」
「サトルにーちゃんもねーちゃんもおせー!」
先を歩いていたサイジが、イライラしたように俺達のところへ戻ってくる。
サイジ、空気を読んでくれ。
俺とおまえのねーちゃんは恋人同士になったんだよ。
このいい雰囲気の中にお前は良く無遠慮に入ってこれるな。
まあでも、ルイがそういうのに敏感なだけで、一般の小学三年生なんてそんなものだ。
俺は諦めて、サイジとゲームの話をしたり、わけが分からないという顔をしているサユちゃんに説明したりした。
そんな風に三人で話をしながら、駅までたどり着く。