結局、一日中サイジが俺から離れず、ルイはサユちゃんに張り付いていて、時折イッサがぼそりとマイペース発言をこぼしては皆の視線をさらっていくという、ちびっこ達に振り回された一日になった。

部屋で二人きりとか……期待していたのに。
これはデートといえるのか?
俺的には言えねぇな。

しかし、サユちゃんは満足そうに「楽しかった。ありがとうね」なんて笑う。


「送るよ」

「平気。サイちゃんもいるし」

「サイジじゃボディーガードにならねーよ」

「何だとー! サトルにーちゃん。俺を甘く見るなよー!」


小さい体が突っかかってくるけど、リーチの差で俺の勝ちだ。
頭を押さえつけるとどれだけジタバタされてもサイジの手足は届かない。


「ちくしょー!」

「はは。サイジもたくさん食って大きくなれよ」

「サトルくんも、サイちゃんの頃は小さかったんだから大丈夫だよ」


まあ確かにそうだ。

サイジよりもう少し小さかった頃。
俺とサユちゃんの背はほとんど変りなくて。
高いところから彼女を抱きしめるおじさんに、なんとも言えない感情を抱いたことを覚えてる。


「ねーちゃん、行こうー」

「待ってサイちゃん」

「こら、サイジ。ゆっくり行かないとサユちゃんが追いつけねーぞ」


走りだしたサイジに、そんな声を投げると、隣のサユちゃんが恥ずかしいような悔しいような顔をして上目遣いで俺を睨む。
普段は見ないような表情に、俺の心臓は落ち着かない。