HRが終わり、下校するだけになる。隣の席では先程のショートヘアの女子がワーワーとやかましい。
「なんでよう、明菜。一緒に行こうよう」
「いいわよ。和晃に睨まれるの面倒くさい」
「いつだって三人で行ってたじゃん。行こう! カラオケ」
「アンタたちが付き合いだしたら話は別でしょ」
耳に入る会話を拾うだけで、こんなに情報が頭に入ってくるのも面白い。
要するにこいつら三人は中学からの友人で、ショートヘアの珠子とそこそこくんである和晃ってやつが付き合ってんだな?
敢えて和晃は一歩離れたところですました顔をしているが、単に会話に入ると面倒な展開になるだけだと思ってるのかも。
分かるぞ。
俺達だってお年頃だもんな。
彼女がいるんなら二人きりで行きたいよな。
うんうん頷きながら観察していると、珠子の方が思い切ったことを言い出した。
「付き合ったら明菜と遊びにいけないっていうなら、和晃と別れる」
「ちょっと待てぇ!」
聞き耳を立てていたのは一目瞭然のタイミングで和晃が割って入る。
珠子からも明菜からも白い目で見られてら。
アホかコイツは。