一学年の差はなかなかに遠い。
休み時間を利用して彼女に会いに行っても、ゆっくり話せないままチャイムに引き裂かれるし、放課後はすぐに部活で顔を見ている暇さえない。

待っててくれたら、一緒に帰れるのに。
そんな甘い期待を抱いたりもするけど、大概は空回りで終わっている。

最近県展に出す絵を描いているというサユちゃんは、毎日のように美術室にいる。
キャンパスは窓際においているらしく、部活途中に見上げると彼女と時々目が合う。軽く手を振れば笑って振り返してくれて、俺は幸せ気分を満喫するのだが、そのうちにいつの間にか美術室の明かりは消えてしまっている。


【サトルくん、部活頑張ってね】


部活終わりに携帯を見ると、いつもそんなメールが入っている。

確かに、遅くなるから待っててくれとは言えないけど、もう一時間くらいなら待っていてくれてもいいのに。

折角付き合い出したんだからもっと一緒にいたいとか思うのは俺だけなんだろうか。
俺が想うほどには、サユちゃんは俺のこと好きじゃない?


「くっ……悔しいが和晃の気持ちがわかる」


いつまでも片思いみたいな和晃をバカにし続けていたが、実際自分がその立場に置かれるとかなり切ない。